風営法違反の罰則と弁護活動
「風営法違反には罰則があると聞いたけど、風営法違反の罰則にはどんなものがあるんだろう。もしも取調べを受けたらどう対応すればいいんだろう」
ホストクラブやキャバクラ、クラブ、ラウンジ、コンカフェなどを営む際に避けては通れないのが風営法の規制です。
風営法ではさまざまなルールが定められており、これに違反すれば刑事罰が科されます。
また、刑事罰を科される前提として取調べを受けることもあります。
ここでは、次のことについて弁護士が解説します。
- 風営法違反で刑事罰が科される主な行為
- 風営法違反で取調べを受けた際の対応方法
風営法違反で刑事罰が科される主な行為
風営法違反で刑事罰が科される行為には、主に次のものがあります。
無許可営業
風俗営業を営もうとする場合には、あらかじめ許可を得なければなりません(風営法3条)。
許可を得ないで風俗営業を営んだ場合には、無許可営業の罪として刑事罰が科されます(風営法49条1号)。
無許可営業の罪の罰則は、次のいずれか、またはこれらの併科(両方が科されること)です。
- 2年以下の懲役
- 200万円以下の罰金
名義貸し
許可を受けた風俗営業者は、自己の名義を他人に貸すことによって、他人に風俗営業を営ませることが禁じられています。
名義貸しの罪の罰則は、次のいずれか、またはこれらの併科です。
- 2年以下の懲役
- 200万円以下の罰金
客引き行為
風俗営業を営む者は、客引き行為を行ってはいけません。
客引き行為には、次の行為が含まれます。
- 風俗営業に関し客引きをすること
- 風俗営業に関し客引きをするため、道路などの公共の場所で、人に対して立ち塞がったりつきまとったりすること
客引き行為の罰則は、次のいずれか、またはこれらの併科です。
- 1年以下の懲役
- 100万円以下の罰金
風営法違反で取調べを受けたら一刻も早く弁護士に相談をするべき
風営法違反の事実を警察が認知した場合には、最悪の場合、強制捜査を受けて逮捕されてしまうこともあり得ます。
また、逮捕まではいかなかったとしても、警察署に呼び出されて任意取調べを受けることもあります。
任意取調べを受けるということは多くの人にはなかなかない機会なので、「この先どうなるのか」という不安が大きいものです。
この場合、たとえ逮捕されていなかったとしても、できるだけ早く弁護士に相談することがおすすめです。
任意取調べの段階でどのように対応して話していくのかということは、その後どうなるかということに影響を与えます。
極端な話ですが、身に覚えのない事実で取調べを受けているのに、警察の取調べについつい乗せられてしまって罪を犯したことを認めてしまうということも、決して少ないことではありません。
そうなってしまったら、自分ではいくら罪を犯していないと考えていたとしても、罪を犯したことを前提に事件処理が進められてしまうことになります。
取調べ対応は、非常に重要です。
身柄拘束されていない段階で任意取調べを受けていたとしても、できるだけ早く弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士が行ってくれる弁護活動
弁護士が行ってくれる弁護活動には次のようなものがあります。
- 逮捕前の取調べへの対応方法のアドバイス
- 逮捕された場合の接見と取調べ対応のアドバイス
- 釈放に向けたさまざまな活動
- 事件の見通しのアドバイス
風営法違反の事件では、特に経営者が逮捕されてしまう可能性が高く、できるだけ早くに弁護士をつけて対応することが欠かせません。
風営法は、複雑なルールを定めた法律です。
風営法について十分な知識を持っていなければ、警察や検察による取調べにおいて何が問題視されて事情を聴かれているのか十分に把握できないということもあります。
このため、風営法について十分な知識を持った弁護士に依頼しておけば、取調べなどでどのように対応すれば望ましいのかアドバイスをしてくれて、事態がより不利な方向に進んでしまうことをできるだけ避けることができます。
逮捕前の段階で弁護士に相談・依頼しておけば、弁護士は逮捕回避のためにさまざまな活動を行います。
具体的には次のようなものがあります。
- 捜査官と面会して事情を伝えて逮捕しないように働きかける
- 取調べで不利な発言をしてしまわないようにどのように取調べに臨めばいいのかアドバイスをする
また、万が一逮捕されてしまったとしても、逮捕前の段階から弁護士に依頼しておけば、逮捕されても速やかに適切な弁護活動を行います。
逮捕された場合の弁護活動には次のようなものがあります。
- 速やかに接見にいく
- 具体的な事実関係を聴き取り、あなたにとって有利な事情を探し出す
- あなたにとって有利な事情をもとに、準抗告などの身柄解放に向けた活動を行う
これらのことから、弁護士に風営法違反事件の弁護を依頼することには、大きな意味があると言えます。
風営法違反事件の解決実績
これまでの風営法違反事件の解決実績についてご紹介します。
客引きをしたとして風営法違反で逮捕された事案
この事案は、ホストクラブ従業員の被疑者が客引きをしたとして迷惑防止条例違反で逮捕され、その後被疑事実が風営法違反に切り替えられて取調べを受けていた事案です。
客引きは、都道府県等の迷惑防止条例でも禁止されています。
また、ホストクラブのような風俗営業者が客引きを行った場合には、風営法違反の罪も成立します。
本件では、客引きを行なったもののその内容は悪質な客引きではなく、またホストクラブ自体もぼったくり店などではなく、そもそも逮捕・勾留までされることがやや疑問である事案でした。
もっとも、被疑者は容疑について全て認めており、争う意向はないとのいうことでしたので、取調べにおいては認めている事実について正直に取調官に話すようにアドバイスするとともに、どのように取調べの場で話せばいいのかを具体的にアドバイスしました。
もちろん、接見にはなるべく頻繁に行くようにして、取調べの進展状況を把握するとともに、その時々の状況に応じて適切なアドバイスを続けました。
あわせて、早期の身柄解放に向けて、検察官や裁判所に働きかけるために、勤務するホストクラブの店長から誓約書を取り付けたり、同居の家族から身元引受書を取り付けたりするなど、被疑者に有利な証拠を集める活動を行いました。
これらの結果、勾留延長されることなく、勾留10日間で釈放されるという結果を得ることができました。
風営法違反の刑事弁護を依頼するなら経験ある弁護士に相談をしよう
風営法違反は、典型的な刑法犯とは異なり、法律の仕組みも複雑で知識や経験がなければ適切に対応することが難しい犯罪類型の一つです。
風営法違反で呼び出し・取調べを受けていたり、逮捕・勾留されてしまった場合には、できるだけ早く風営法違反の弁護経験のある弁護士に依頼するようにしましょう。